
南部アフリカにあるビクトリアの滝って世界遺産なの?滝の特徴も知りたい!
こんな疑問にお答えします。
この記事を書いている筆者は東アフリカに住んでいたこともあり、ビクトリアの滝が大好きです。
ビクトリアの滝について、ナイアガラの滝やイグアスの滝と比較しながらご紹介します。
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世界遺産ビクトリアの滝【ヴィクトリア・フォールズ/モシ・オァ・トゥーニャ】

ビクトリアの滝は1898年にユネスコの世界遺産(自然遺産)に登録されました。
ナイアガラの滝、イグアスの滝と並んで「世界三大瀑布」に数えられます。
今でこそアフリカ南部で最も有名な観光地の一つになりましたが、世界的に知られるようになったのは1855年にイギリスの探検家・宣教師ディビット・リビングストンが発見してからです。母国イギリスの女王にちなんで「ビクトリア」と命名しました。勝手ですね〜。
元々そこに住んでいたコロロ族は滝を、「モシ・オァ・トゥーニャ(Mosi-oa-Tunya )雷鳴の轟く水煙」と呼んでいました。

この名前がしっくりくる!街からでも見えるから、初めて見たとき普通の煙だと思った。(大火事。照)
世界遺産登録名にはジンバブエ側の「ヴィクトリア・フォールズ(Victoria Falls)」とザンビア側の「モシ・オァ・トゥーニャ(Mosi-oa-Tunya)」の2つを併記しています。
ちなみに、ナイアガラの滝はとても有名ですが世界遺産に登録されていません。
え?びっくりですよね!理由はいろいろあるみたいです。
●水量を調節している人工的な滝だから
バンクーバーの空に描く夢。
●多方面で商業利用されているから
●2カ国間の手続きが必要なのに、アメリカがそもそも申請していない
世界遺産ビクトリアの滝の特徴

ビクトリアの滝は幅1708m、最大落差は105mと、世界最大級のスケールを持つ大瀑布です。ビクトリアの滝には三大瀑布の中では類を見ない、3つの特徴があります。
●乾季と雨季で全然違う
●滝として不思議
●水煙がすごい
一つずつ、見ていきましょう。
【ビクトリアの滝】特徴①雨季と乾季で全然違う
ビクトリアの滝は、増水期と渇水期の差が激しい滝です。水量のピーク月は3000m3に対し、ボトム月は300m3。その差なんと10倍!
どうしてこんなに差があるのかというと、ザンベジ川はアフリカ大陸で四番目に長い川、、、滝は長い川の途中にあるので、滝の水量は川が流れてくる地域の気候の影響をもろ受けるからです。
これらの地域は雨季と乾季に分かれ、乾季はほとんど雨が降りません。ザンベジ川の水位も低下します。
滝の水流量のピーク月は降水量のピーク月から遅れてやってきます。滝の水流量のピークは雨季の終わり、4月から5月にかけてです。
増水期と渇水期がこれほど違う景色になる滝は、とても珍しいですね!
【ビクトリアの滝】特徴②滝として不思議

ビクトリアの滝はとても不思議な滝でもあります。
滝が形成されるためには高低差が必要なので、周囲に山や崖があるのが普通ですが、ビクトリアの滝の周囲は数百キロメートルにわたって平原が広がっているのです!
平原を流れるザンベジ川が川幅そのままに、垂直に切られた峡谷に一気に落下します。
平原を流れるザンベジ川なので、乾季は特に流れが緩やか、、、
滝の上で泳ぐこともできます。は?滝の上でお、お、泳ぐ???こんな経験、ナイアガラの滝でもイグアスの滝でもできませんね。
【ビクトリアの滝】特徴③水煙がすごい

現地語で、Mosi-oa-Tunya(モシ・オァ・トゥーニャ)「雷鳴轟く水煙」と呼ばれるビクトリアの滝は、その名の通り、増水期は高さ800m!まで水煙が立ちのぼります!(高層ビル160階)
水煙は水が崖を流れ落ちたあとに水しぶきになって上に舞い上がってできるのですが、どうしてここまで高く立ちのぼるのでしょうか?
それは、ビクトリアの滝が「地理的に希有で奇跡の滝」だからです。
ビクトリアの滝は、滝と対岸までの距離が短く、滝はある意味「峡谷(深い谷)」となっています。
落下する膨大な水の、唯一の出口となるのが幅110m、長さ150mのこれまた「峡谷」
ザンベジ川のすべての水が最初の峡谷(ビクトリアの滝そのもの)に流れ落ちる際、空気を巻き込み、水の時速は150kmにも達します。滝壺は風速20kmもの風が吹き、それらが狭い出口と狭い崖から逃げることができず、水しぶきと一緒になって上に舞い上がってくるぅ〜!というわけです。

増水期は水煙でビクトリアの滝そのものが見えなくなるほどですが、滝と対岸までの距離が短く、また滝と対岸の高さがほぼ同じなので、水流を間近に見ることができます。
イグアスの滝やナイアガラの滝にも水煙はありますが、滝水が落ちたあと流れ出る場所がひらけているため、ここまで空高く立ちのぼることはありません。
下から吹き上げてくる水しぶきは、当然のように上からも豪雨のように降り注いできます。
全身ずぶ濡れになりながら滝を体験する!これがビクトリアの滝の醍醐味です。
世界三大瀑布を比べてみよう!ビクトリアの滝、ナイアガラの滝、イグアスの滝

こうしてみると、ナイアガラの滝が小さいことがわかりますね。水量は年平均なので、ビクトリアの滝は少なくなってしまいます。滝幅はイグアスが半端ない!でも落差はビクトリアの滝がナンバーワン!
他の二つと比べても、この落差、幅、そして増水期の水量はすさまじい迫力であることがわかります。まぎれもなく世界最大級の瀑布ですね。
ビクトリアの滝ならではのアクティビティ
ビクトリアの滝の特徴に由来し、そこでしかできないことがあります。
滝の上で泳ぐ?!「デビルズ・プール」
やめなさいって!
見ているだけでゾッとします、、、でも若かりし筆者はよくわからず行ったことがあります。こんなにフチまで行くことはできず、クリオネみたいに岩に戻ってました。
満月の期間だけ見られる虹「ルナ・レインボー」
ビクトリアの滝はよく虹がかかります。滝にはそれぞれに6つの名前がついているのですが、そのうちの一つは「レインボー・フォール」というほどです。
夜に虹がかかることもあり、「ルナ・レインボー(月の虹)」と呼ばれています。晴れた月の夜に、滝の水煙が月の光を反射して虹ができます。増水期の満月の夜とその前後3日間だけザンビア側・ジンバブエ側とも夜に国立公園に入ることができます。
滝の名前に因んだ愛されビール「モシ」

ザンビアで人気の「モシ(Mosi)」というビールがあります。滝の名前に因んだビールで、ラベルにも滝の絵があしらわれています。
ラベルが2017年頃に変わりました。旧式の方が趣があって好きでした!
長いんですが、「リビングストン博士とお見受けしますが(Dr.Livingstone, I presume?)」というカクテルもあります。
ビクトリアの滝を発見したディビット・リビングストンは探検の途中に消息不明となったのですが、捜索にアメリカの新聞社からヘンリー・スタンレーという記者が派遣されました。やっとリビングストンらしき人に出会えたときにスタンレーが最初に発したセリフが、「リビングストン博士とお見受けしますが」だったとされており、有名な言葉になっています。
私、この話なんか好きなんですよね。やっと見つけたときのスタンレーの気持ち、、、そしてやっと見つけたのにこんなに丁寧に、、、笑(スタンレーはこの後リビングストンと一緒にアフリカを探索する)
ビクトリアの滝のアクティビティ?ではありませんが、こうした滝に因んだビールやカクテルを飲みながらザンベジ川やビクトリアの滝を眺めるのは楽しいですよね!
まとめ
世界遺産のビクトリアの滝についてでした。
●乾季と雨季で全然違う
●滝として不思議
●水煙がすごい
これらの特徴を理解すると、地理的状況がいかに不思議で類を見ないものかがわかります。
私もまた必ず行ってみたいと思っています。